診療科のご案内
Medical Service

脳神経外科・脳血管内治療科

1. 低侵襲手術を目指して

この10年間で他科同様、脳神経外科領域でも minimally invasive surgery の流れは顕著であり、神経内視鏡治療、脳血管内治療は正にこの流れの中で目覚ましい進歩を遂げた分野と言えます。それぞれの学会では脳神経外科専門医とは別の subspeciality としての専門医制度が作られ、実技を含めたこれまでにない専門医認定制度が確立されました。

当科でも神経内視鏡手術は平成13年度より導入、平成24年度までに、常勤の3名の神経内視鏡技術認定医の下、脳内血腫131例、水頭症手術102例を施行。また、脳血管内治療は平成15年度より導入、こちらも常勤の3名の脳血管内治療専門医の下、脳動脈瘤塞栓術、頸動脈ステント留置を中心に平成24年度までに271例を施行しております。

2.1 脳動脈瘤

現在、動脈瘤に対するコイル塞栓術においては、コイル自体の性能の向上もさることながら、adjunctive techniques として併用するバルーンやステントも多岐にわたり、以前ではコイル塞栓が不適と考えられた、広頚瘤や大型瘤でも治療が可能となってきました。

当科でも多くの新しいデバイスを取り揃え、血管内治療専門医が各症例に合わせた確実、安全な瘤内塞栓を行っております。また治療は原則、麻酔科管理の下、全身麻酔下に行われます。

ただ、当科では破裂・未破裂ともに血管内治療を第1選択としてはおりますが、症例を十分検討した上で、クリッピング等の開頭手術が適当であると判断した場合には、いずれの方法も提示させて頂き、患者様、御家族の御希望に即した治療を心掛けております。

コイル塞栓術
大型内頚動脈瘤に対するステントアシストによるコイル塞栓術

2.2 内頚動脈狭窄症

原則、症候性、無症候性のいずれにおいても、頸動脈ステント留置術を施行しております。

術前に血管撮影だけではなく、超音波検査、MRI等でプラーク性状の診断を行います。また、脳血流シンチグラフィーを行い、術後の過潅流症候群の危険性についても評価を行います。以上の検査結果からステント留置術の適応を判断し、患者様、御家族の御希望を以て施行となります。

手術は局所麻酔下で、患者様の神経学的所見を確認しながら行っております。先の十分な術前検討から、プロテクションデバイス、ステントを各症例に合わせて使用しており、大きな周術期合併症を来たした経験は一度もありません。

2.3 急性脳動脈閉塞症(脳梗塞)

現在では、発症4時間30分以内で既往歴等の禁忌事項が否定された症例に対しては t-PA 静注療法が確立しており、当院においてもこれに準じて施行しております。その上で、t-PA 静注の適応外になった症例、t-PA 静注後も神経症状の改善が認められない症例に対しては、当科においても可能な限り、血管内治療による急性期血行再建術を行っています。

3 神経内視鏡手術

当科にはオリンパス製の硬性鏡、軟性鏡を取り揃え、各疾患に対応しております。

内視鏡
神経内視鏡(オリンパス製)

3.1 脳内出血

当科ではガイドラインに則り、適応症例に対してはナビゲーション誘導下による定位的脳内血腫除去を行っておりますが、この際に神経内視鏡を血腫腔に先進させ、内視鏡下での安全な血腫吸引と止血を行っています。これにより、開頭術後よりも有意に離床までの期間が早まり、積極的なリハビテーションが可能となりました。

3.2 水頭症

脳室内出血や腫瘍、中脳水道狭窄症による閉塞性水頭症に対しては、軟性鏡を用いた第3脳室底開窓術を行っています。もちろん術後、期待した効果が得られなかった際には通常のシャント手術を行っております。

また、slit ventricle や、モンロー孔の閉塞した症例など、通常のシャント手術が困難な場合などに支援として内視鏡を併用し、手術の安全性を高めています。

3.3 下垂体腫瘍

鼻腔からの硬性鏡を用いての経蝶形骨洞的腫瘍摘出を行っています。この分野で多くの治療経験を持つ、日本医科大学 脳神経外科 田原医師と協力のもと、安全な治療を実施しております。

3.4 その他

再発を繰り返す器質化した慢性硬膜下血腫に対して、従来は開頭手術での血腫除去が行われていましたが、最近では神経内視鏡での穿頭手術で、血腫外膜の除去を行うことで再発を予防出来ることがあり、元々高齢者に多い疾患であることから、低侵襲治療のオプションとして選択して頂いています。

内視鏡画像サンプル
慢性硬膜下血腫の血腫腔内の神経内視鏡所見

4 脳腫瘍

Stryker製のナビゲーションシステムを導入してからは、開頭の範囲も以前より縮小出来るようになり、モニタリングシステムと併せて、安全かつ確実な摘出術を目指していきます。

また、悪性度の高い脳腫瘍に対しては、放射線治療として腫瘍の性質に合わせた定位分割照射(リニアック)を放射線治療医と検討の上、積極的に行っております。ガンマナイフ治療については同グループ内の熱海所記念病院にて施行して頂いております(当院よりお車での送迎があります)。化学療法もテモゾロマイドの内服から、本年より採用された分子標的治療薬のベバスズマフの外来注射投与など、患者様のライフスタイルに合わせた治療を心掛けております。

脳腫瘍摘出手術の風景
ナビゲーション、術中モニタリングを併用した脳腫瘍摘出手術の風景。

お問い合わせ先
048-442-1111(代表)