手術支援ロボット「ダビンチ(Da Vinci)」
そして、2022年10月からは消化器外科において直腸がん手術での運用を開始しました。
手術支援ロボット「ダビンチ」とは
患者さんへの負担が少ない低侵襲の鏡視下手術(腹腔鏡下手術・胸腔鏡下手術)に、ロボット機能を組み合わせたのが「ダビンチ」です。
これまで不可能とされていた角度からの視野の確保と鉗子の細密な動きで、複雑な手術を可能にしました。
ロボット支援手術のメリット
傷口が小さい
手術に必要なのは0.5~1.5cmほどの小さな穴で、5~7か所程度です。切除部位を取り出すために、そのうちの1か所だけ4cm程度に広げることがあります。
手術中の出血量が少ない
「ダビンチ」の動きは精緻で止血も効果的にできるため、輸血が行われた例は少数です。
術後の疼痛が少ない
傷口が小さいため、痛みを軽減できます。
回復が早い
体への負担が少ない分、術後の回復が早く早期の社会復帰が望めます。
術後の合併症のリスクが低い
「ダビンチ」の鉗子の動きは、柔軟で緻密で正確です。病変部に的確にアプローチできるため、組織の損傷や合併症を抑えられます。
ロボット支援手術で期待できること
術野が立体的で広く、鮮明
立体的な3Dモニターで術野を10倍に拡大して見られるため、細部の手技が正確に行えます。執刀医自身が患者さんの体内に入って手術をしているようだと言われるほど、視界が良好です。
人の指先以上の動きを実現
「ダビンチ」の鉗子は、手首以上の可動域と、柔軟でブレない確かさを持ち、指先に勝る細かな動きを可能にしています。
手術中の執刀医の負担を軽減
手ブレ防止機能や、座って手術が行えることで、執刀医の負担を軽減。長時間、高い集中力を必用とする手術の正確性を高めます。
訓練を受けた医師のみが操作
「ダビンチ」は、関連学会が推奨するトレーニングを受けた医師のみが操作できます。当院には4名の医師が在籍し、「ダビンチ」での手術にあたります。さらに、当院には十分な経験と実績により指導医として認定されたプロクター2名が在籍しています。
当院で受けられるロボット支援手術
泌尿器科
- 前立腺がん
- 腎がん(腎細胞がん)
- 膀胱がん
- 腎盂尿路移行部狭窄
消化器外科
年度別ロボット支援手術実績
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
---|---|---|---|---|---|
前立腺がん | 51 | 73 | 61 | 41 | 40 |
腎がん(腎細胞がん) | 14 | 11 | 15 | 11 | 12 |
膀胱がん | - | 3 | 1 | 5 | 3 |
腎盂尿路移行部狭窄 | - | - | - | 1 | 1 |
合計 | 65 | 87 | 77 | 58 | 56 |
消化器外科医よりメッセージ

消化器外科部長
榎本 正統
Masanobu Enomoto
PROFILE
1999年東京医科大学卒業、外科学第三講座に入局。2021年11月東京医科大学消化器・小児外科学分野准教授に就任。2022年10月当院消化器外科部長に就任。
学会認定資格 |
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直腸がんに対するロボット手術の利点・欠点
どんな直腸がんでもロボット手術は可能か
今後の展望について
直腸がんに対するロボット手術は、精緻で自由度の高い動作が可能であることや外科医のストレスが少ないことなど多くの利点を有しています。私が2022年まで在籍した東京医科大学病院では、直腸手術の90%以上をロボット手術で施行していました。今後は、当院でも多くの直腸手術をロボットで行うことになると思われます。
泌尿器科医よりメッセージ
飯田 祥一
Shoichi Iida
PROFILE
1997年旭川医科大学卒、2009年東京女子医科大学大学院修了。2014年東京女子医科大学泌尿器科助教。2015年4月当院泌尿器科を担当し、同年6月当院泌尿器科部長に就任。
学会認定資格 |
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泌尿器外科治療を中心とした地域医療に携わり、北海道北見市・千歳市の民間病院で従事したのちご縁があって2015年に当院泌尿器科に入職いたしました。
前立腺がん、胃がんに対するロボット手術に助手から術者へと経験を重ね、並行して後進者の育成に取り組んでおります。
費用について
当院では前立腺がん、腎がん(腎細胞がん)、膀胱がん、腎盂尿管移行部狭窄、直腸がんに対して「ダビンチ」によるロボット支援手術を施行しており、いずれも保険適応となります。
入院・手術に関わる費用は年齢や年収、健康保険制度によって異なりますので各診療科へお問い合わせください。
よくある質問
手術に携わるスタッフは認定資格を取得し、熟練した技術を持っています。さらに、緊急時にも瞬時に対応できるよう日々技術を高める訓練を積んでおり、安全管理の徹底が図られています。
「ダビンチ」の機能

①サージョンコンソール
術者は座った姿勢で3Dモニターを見ながら、両手両足を使ってコントローラーを操作します。

②ペイシェントカート

③ビジョンカート

受診について
医療機関の方へ(患者さまご紹介など)
かかりつけの先生方と当院とで連携がとれるよう適宜対応いたしますので、地域医療連携課へお問い合わせください。
患者さまの状態が安定した際は、紹介元医療機関(かかりつけ医)へ逆紹介させていただきます。
患者さまへ(当院・当科に初めて受診される方)
初診は、“戸田中央総合病院あて”の紹介状が必要です。
かかりつけ医により専門的な治療が必要と判断された場合は当院あての紹介状をご用意の上、お電話にてご連絡いただきますようお願い申し上げます。
関連診療科
